離婚の財産分与の対象になるのは何?お金以外の財産はどう分ける?

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離婚を決めた時に、それまで夫婦で築いてきた財産の分け方を考えなければなりません。

これを「財産分与」と言います。

ただ、「財産分与ってどこからどこまでが対象なの?」「何がもらえて何がもらえないの?」「どういう配分で分けるの?」など考えなくてはならないことが多く、難しいですよね。

今回は、財産分与について分かりやすく解説していきたいと思います。

財産分与とは?財産分与の種類

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離婚時の財産分与とは、離婚する時に、夫婦が結婚生活の中で協力して築き上げた財産を分けることです。

まず財産分与の種類は大きく分けて4つあります。

基本的な財産分与 夫婦の結婚中にできた財産を公平に分けること
経済支援 離婚後の生活に困った場合、経済的なめどが立つまでの支援
慰謝料 精神的苦痛に対する慰謝料
貸し借りの清算 離婚までの生活費の不払い分

離婚後でも請求することは可能ですが、慰謝料は3年、その他は2年を過ぎると請求できなくなるので注意が必要です。

今回は財産分与のうちでもっとも多い基本的な財産分与を取り上げていきたいと思います。

財産分与のポイントは「夫婦で築いた財産」かどうか

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財産分与の基本的な目的は、結婚生活で夫婦が協力して得た財産を公平に分配することです。

しかし、財産分与といっても所有しているものならば全てが2分割というわけではありません。また、分与できる財産と分与できない財産があります。

それでは何が財産分与の対象になるのか紹介します。

財産分与の対象になるもの

財産分与の対象となるものは2種類あります。

【夫婦両方の名義のもの(共有財産)

結婚後に夫婦が協力して築いた共有名義(名義のないものも含む)の財産です。

例えば、「へそくりは私がずっと今後のことを考えて個人でやりくりしていたのだから私個人の財産じゃないの?」と考える人が多いですが、基本的に結婚中の生活費の中から発生するものなので、これも夫婦の共有財産として財産分与の対象に考えられます。へそくり以外にも以下が夫婦の共有財産の対象になります。

マイホームなどの不動産

家庭内の現金(タンス預金/へそくり)

ローン(住宅・自動車など)

結婚後に購入した家財道具

 

【一緒に築いたけれど名義が片方になっているもの(実質的共有財産)

結婚後に夫婦が協力して築いた財産のうち、一方の名義のものを指します。

預貯金

有価証券(株・国債)

不動産

自動車

生命保険・個人年金

子どもの学資保険

以上が財産分与の対象になるものです。

また珍しいケースになりますが、医師免許や報酬金など、名義に関わらず、結婚中に財産を得たり、それを保つことに配偶者の努力があったとみなされると、財産分与の対象になることもあります。

財産分与の対象にならないもの

財産分与の対象にならないものもあります。

【1人で築いたもの(特有財産)

共有財産・実質的共有財産以外の夫婦の個別財産を指します。

結婚前の貯蓄(負債も含む)

嫁入り道具・結婚前に取得した家具

結婚後に親兄弟から贈与された物や相続遺産

婚姻後、浪費・ギャンブルなどのために個人的に作った借金

別居後に各々が取得した財産

夫婦で協力して築いた財産かどうかという点で着目することが大切です。

現金以外の夫婦の財産はどうやって分ける?

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ともに生活してきた夫婦にとって、結婚生活の中で築いた財産はお金だけではないですよね。

預貯金や現金は、分ける割合さえ決まればそのまま分けられますが、それ以外のものは現金にするといくらになるのか、価値を評価する必要があります。

ここでは現金以外の夫婦の財産はどう分けるのか紹介します。

マイホーム

特に悩ましいのは、住宅などの不動産ですよね。

不動産を分ける場合には、その価値がどれくらいなのかを調べなければなりません。注意してほしいのは分配するお金はその不動産を購入した時の価格と同じではないということです。

例えば、当時4000万円で購入した家が、築20年目の査定で価値40%ダウンの2400万円となることもあります。さらに不動産の仲介手数料(一般的に、売買価格の3%+6万円+消費税)が発生するのでその分も引かれます。

もちろん住んでいる場所によっても異なります。国土交通省のサイトでお住まいの地域の売却相場を調べることもできるので参考にしてみて下さい。

また、「ローンがまだ残っているんだけれど・・・」「賃貸はどうすればいいの・・・」といったこともありますよね。以下のように分けて解説していきます。

  1. 住宅ローンが完済している場合
  2. 住宅ローンが残っている場合
  3. オーバーローンの場合
  4. 賃貸の場合

1.住宅ローンが完済している場合

住宅ローンがなければ時価評価か住宅ローン支払い済み額(元金相当額のみ)になります。時価は、不動産鑑定士の鑑定などで評価します。売却して仲介手数料(一般的に、売買価格の3%+6万円+消費税)を差し引いて残った現金を分配します。

どちらかが一方が住み続ける場合は譲渡になります。この場合は、時価価格から経費や税金を引いた額の半分を住む側が出ていく側に支払います。

【具体例】

・当時の購入価格4000万円

・時価価格は3000万円

・売却にかかる仲介手数料(売買価格の3%+6万円+税)103万6800円

  • 売却する場合

 (3000万円-103万6800円)×1/2=1448万1600円

     1448万1600円ずつを現金でそれぞれ受け取る

  • どちらか一方が引き続き、住む場合

 3000万円×1/2=1500万円

  住む側が住まない側へ1500万円(※)を現金で譲渡する

(※)気を付けて欲しいことは譲渡の際、税金が発生することです。

この具体例だと、家に住まない側には譲渡所得税、住む側には所有権移転登記の際の登録免許税(不動産価格の1%)と不動産取得税がかかります。この税の控除を受けれることがありますが、この場合、離婚が成立していることが必須条件です。

2.住宅ローンが残っている場合

売却する場合、売却価格がローン残高を上回っていればローンを返済した残額から仲介手数料を引き、残りを分配で良いですよね。

しかし、どちらか一方が住む場合は(時価評価)-(ローン残高)の差額分×1/2を現金で住まない側に支払うことになります。

【具体例】

・当時の購入価格4000万円

・時価価格3000万円

・ローン残高が1000万円

・売却にかかる仲介手数料(売買価格の3%+6万円+税)103万6800円

  • 売却する場合

  3000万円-1000万円-103万6800円=1896万2000円

      1896万2000円×1/2=948万1000円

  948万1000円ずつ現金で受け取る

  • どちらか一方が、引き続き住む場合

  3000万円-1000万円=2000万円

  2000万円×1/2=1000万円

  住む側が住まない側へ1000万円を譲渡する(※)

(※譲渡の際にも税金が発生する場合があるので変動します。離婚が成立している場合は特別控除を受けられます。)

3.オーバーローンの場合

それでは売却価格がローン残高を下回っているときはどうすればいいのでしょうか。

これは最近の裁判所の考え方では財産分与の対象にしない、というのが主流だそうです。

例えば、売却価格1000万円、ローン残高1500万円だった時、売却価格がローン残高を下回っています(-500万円)。

この場合は最近の裁判所の考え方だと、財産分与の対象にはなりません。

住む側に1500万円のローンが残るだけです。

住宅ローンの名義変更や、ケース別でもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

また、結婚時のローン支払い分、つまり、もう払ってしまった分は離婚時の財産分与の対象にはなりません。

4.賃貸の場合

「マイホームじゃなくて賃貸だけど財産分与の対象ってある?」と気になる方もいると思います。

  • どちらも退去する場合

賃貸の場合、持ち家ではないので、財産分与の対象になるのは返還される敷金だけです。

どちらも退去する場合は返還された敷金を1/2で分けます。

契約時、家賃滞納時などのトラブルやハウスクリーニング代を保証するために一旦預けるという形で支払うのが敷金です。

退去時に返ってくる金額は、敷金として当時払った金額ではなく、不動産会社や家主の立ち会いのもと、傷や汚れがないかなどのチェックで決まります。

なので、敷金が返ってくる場合もあれば、そうでない場合もあるので、敷金を当てにしない人もいますが、綺麗にできるところはできる限り掃除してからチェックしてもらったほうが良いかもしれません。

  • どちらか一方が住み続ける場合

財産分与の対象は特にありません。

こうしたときの対応としては、賃貸契約をそのまま継続する方法と賃貸契約の借主名義を変更する方法があります。

例えば夫名義で夫がそのまま住む場合は契約継続ですが、夫名義だった賃貸に妻が住む場合は、夫から妻へ名義変更をすることになります。

この場合は、大家さんや不動産会社から契約名義の変更を承諾してもらわなくてはいけません。

【名義変更の承諾を得る条件】

・新賃借人となる妻(または夫)に賃料を負担できるだけの収入があること

・(物件により)保証人を付けること

※保証人の多くは親や近しい親戚ですが、家賃保証会社を利用するのも一つの手段です。

名義変更を承諾されない場合

夫名義のまま妻が住み、賃料も夫が経済支援(財産分与の一環)として払うことになります。次回の更新契約まで、となることが多いので、その間に貯金や引っ越し先を探したほうが良いかもしれません。

名義変更を承諾された場合

改めて契約することになるので敷金礼金が請求されることもあります。

離婚した後だと敷金・礼金を元配偶者に請求することはできませんので、費用については離婚前に話し合っておくことが大切です。

自動車

不動産と同じように離婚時のそれぞれの評価額(時価)を計算します。

自動車販売店などに査定してもらいます。

売却にかかった経費を差し引き、残った金額を夫婦で分割します。

ここでいう経費は車の運送料、譲渡代行料や手数料などです。

売却せずにどちらかが使用する場合は、車を所有する側が所有しない側へ、評価額の1/2を支払い、名義変更により譲渡します。

【時価評価額150万円の自動車を持っていて、経費2万円の場合】

  • 売却する場合

(150万円-2万円)×1/2=74万円

74万円ずつ現金で受け取る

  • 売却せずにどちらかに譲渡する場合

(150万円-2万円)×1/2=74万円

自動車を譲渡する側に74万円支払う

家具・家財

不動産と同じように離婚時のそれぞれの評価額(時価)を計算します。リサイクルショップなどに査定してもらいます。売却にかかった経費を差し引き、残った金額を夫婦で分割します。

ただ、長年の使用より価値が下がっているものがほとんどなので、よほど高級家財ではないものでない限り、経費などで余計にお金がかかってしまいます。

少しでも生活の足しにしたい!と売却したい方はメルカリなどのサービスを利用するのも一つの手かもしれません。

また、算定できなかったものや、愛着のある家具や家財は話し合いで処分・引き取ることを決めることになります。

株・国債など

株や国際といった有価証券やゴルフ会員権も時価で分与します。

その株式の売却方法にしたがって得た現金を分けるのも良いですが、査定金額を1/2にして現物(券など)そのままで分けることも可能です。

保険料

自動車の任意保険や夫婦の生命保険、子どもの学資保険などの一切の保険は、結婚期間中に加入していたものであれば、その名義を問わず、すべて財産分与の対象です。

離婚時に保険を解約する場合には、解約返戻金や満期返戻金を夫婦で分割します。

  • 解約返戻金…保険契約者が自ら契約を解約したり、保険会社から契約を解除された場合などに、保険契約者に対して払い戻されるお金

 

  • 満期返戻金…保険金が支払われる事態が発生しないまま、解約や満期を迎えた場合に契約者に返されるお金

 

どちらか一方が離婚後も加入し続ける場合は、保険に加入するほうがしないほうへ、離婚時点での解約返戻金に相当する金額×結婚期間÷保険料の支払期間を支払うことになります。

【具体例】

・夫の保険料の支払い期間が20年

・結婚期間5年

・解約返戻金100万円

100万円×1/4(5/20)=25万円

妻へ25万円支払う

加入中であれば、名義変更をして契約を継続することも可能です。また、子どもの学資保険は、親権者に渡すことが多いです。

ここで気を付けて欲しいことは、一方が婚姻以前に支払っていた期間に相当する解約返戻金は財産分与の対象にならないことです。

絵画・美術品・骨董品など

離婚時に査定した評価額(時価)を買取センターなどで査定してもらい、分割します。

マニア商品などは時価が分かりづらいので売却するより、必要な方が対価を払って引き取るのが良いかもしれません。

ペット

どちらかが元々飼っていたものなら所有権は元の飼い主のものですが、2人が結婚中に飼い始めたペットなら二人の共有財産になります。

この場合のペットの所有権はどうなるのでしょうか。

家族の一員であるペットですが、法律的には物として扱われてしまいます。財産分与の時はペットを財産として引き取った代わりに他の財産を譲ったり、金銭を支払うなどの方法をとるのが一般的です。

また、子どもとは違い、養育費などは発生しないので引き取った人が全ての世話をする形になります。なのでそこを加味してペットのお世話にどれだけ参加していたか、どれだけなついているか、また、経済的に負担はないかなどを考える必要があります。

ペットの幸せのためにも冷静に判断することが大切ですね。

財産分与の対象になるか判断が難しいものもあるので注意!

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財産分与の対象となる財産がどうかは個別に判断しますが、その判断をめぐってトラブルになりやすいものもあります。

正しい知識を持って冷静に判断するためにも、トラブルになりやすいものを挙げていきます。

退職金

退職金が財産分与の対象となるかは、離婚のタイミングによって異なります。

  1. 退職金が既に支払われた
  2. 退職金(定年)は数年後で受け取る可能性が大
  3. 退職金はずっと前に受け取り、生活費などでもう使った

この内、財産分与の対象になるのは、1と2です。

すでに退職金が支払われている場合、預貯金・預金に還元されたもの(生活費などで使っていないもの)は、共有財産として分割することが可能です。

【具体例※退職金の税金分を計算に入れない判例を例とします】

・夫の勤務歴40年

・結婚の同居期間18年

・退職金が2000万円

2000万円×18÷40=900万円

900万円÷2=450万円

妻へ450万円が支払われる

退職金が支払われたのが離婚よりもずいぶん前で、すでに生活費などで消費してしまっているときは、財産分与の対象としては扱われないことが多いです。ただ、例外として熟年離婚など結婚期間が長い場合は対象になることもあります。

また、受け取っていない退職金に関しては、離婚のタイミングが定年まであと数年(3年後程度)など、将来退職金を受け取ることが確実であるとみなされるときも、財産分与の対象となります。

ここで「退職金はいつ支払ってもらえるの?」となると思いますが、支払能力があれば、離婚時でも退職時でも可能です。退職金の正確な数字で財産分与するためにも支払われるタイミングは離婚時よりも退職時が一般的だそうです。

なお、退職金には所得税(分離課税)と住民税がかかります。厳密には、公租公課(税金)を控除した金額ということですが、離婚時に支払えとする判決のなかには、税金を計算に入れない判例もあります。

上の具体例にもあるように、財産分与の対象となるのは退職金の金額ではなく、結婚期間(別居期間を差し引いた期間※単身赴任期間は別居に含まれません)に相当する金額であることに注意が必要です。

借金

プラスの財産だけではなく、借金も財産になるので分与の対象になります。中でも対象となるのは、住宅ローン、自動車ローン、子どもの教育ローンや生活費のために借りた借金など夫婦の共有財産とみなされる負債です。

ただし、浪費やギャンブルなどのために一方が個人的に作った借金は、たとえ結婚中のものであっても共有財産には含まれません(連帯保証人になっている場合は除きます)。

つまり、「えっこの人こんなにギャンブルで借金していたの知らなかった!」など、配偶者が消費者金融で知らないうちに借金していたなどの場合、返済の義務は発生しません。

こういったマイナスな夫婦の共有財産がある場合は、プラスの財産からマイナスの財産を差し引き、残った財産を分割する方法が一般的です。

別居中に築いた財産

離婚前に別居していれば、別居中にそれぞれが築いた財産は対象にはなりません。

夫婦の協力を元に得た財産とはみなされないからです。以上を理由に、原則として財産分与の対象にはなりません。

夫婦の一方が経営する会社

夫婦の一方が社長などの経営者だった場合、経営している株式会社の保有株が財産分与の対象になります。

実質的に個人経営で個人と変わらない会社の財産も分与の対象になる可能性がありますが、会社名義の財産は分与の対象にはなりません。

 

 

このように、財産分与は、夫婦の形や数の分だけ千差万別になります。

また、ローンや借金も財産分与の対象になり得るので、財産分与になる対象を一つ一つどうなるか確認することが大切です。

夫婦の経済面でもしっかりと清算をきちんと行うためにも考える手立てにしていただければと思います。