事実婚の解消で慰謝料や財産分与は請求できる?法律婚との違いは?

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近年人気が高まっている事実婚。

既存の価値観にとらわれない新たな婚姻形態として注目を集めていますが、そんな事実婚夫婦が離婚するとなった場合は、通常の法律婚と何が異なるのでしょうか。

今回は事実婚と法律婚の違いについて触れつつ、事実婚夫婦の離婚時に関わってくる様々なお金について解説していきます。

事実婚と法律婚の違いは?

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まずは事実婚と法律婚の違いについて、簡単に解説します。

法的に「配偶者」と認められているか否か

事実婚と法律婚の大きな違いは、婚姻届を出しているかどうかです。
婚姻届を出すことによって、夫婦は法的に夫婦であることを認められることになります。

法律上で夫婦であることが認められると、税額計算の際に控除を受けられたり、相続の際には法定相続人となることができるなど、公的な場面で婚姻を前提とした手続きを受けられます。事実婚の場合はこれらの手続きを受けることができません。

俗に言う「内縁」と言うのも事実婚と同じです。
ただし、「内縁」と言うのは本来、結婚したいのに戸主の許可が下りず婚姻届を出すことができない関係のことを言い、婚姻届を出したくても様々な事情によって出せない夫婦のことを指します。それに対して「事実婚」は、自分たちの意思で、意図的に婚姻届を出さない夫婦のことを指すことが多いようです。

事実婚は夫婦関係を解消しても戸籍に残らない!

法律婚夫婦が離婚届を出す形での離婚をすると、戸籍に離婚した旨の記載が載ります。

しかし、事実婚夫婦は書類の提出を前提としないため、たとえ夫婦関係を解消したとしても、戸籍にはなんの記載もされません。

事実婚を解消するには?何か手続きは必要?

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事実婚を解消、すなわち離婚を成立させるにはどうすれば良いのでしょうか。

夫婦間で合意できていれば解消できる!

事実婚は婚姻届を提出することなく夫婦間の同意のみで成り立つ婚姻ですので、事実婚の解消、すなわち離婚の際も特別な手続きは必要ありません。

事実婚を解消する意思の合致さえあれば離婚は成立します。

別れ方に気をつけないとトラブルが発生する可能性も

書類や特別な手続きが必要ではないからといって、合意のないまま勝手に離婚を進めたり、勝手に家を出て行くなどして一方的に共同生活をやめたりすると、後々トラブルに発展する可能性があります。

通常の法律婚においても、双方の合意がない場合に離婚判決をもらうためには、離婚が正当であるという離婚事由が必要とされているように、事実婚においても双方の合意がない場合の離婚は「正当の理由」によるべきと考えられています。

事実婚解消のための「正当な理由」とは何を指すのでしょうか。

民法770条に記載されている事由とは以下のようなものです。

①配偶者に不貞な行為があったとき
②配偶者から悪意で遺棄されたとき
③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

このように、浮気、モラハラ、DV、生活費を渡さない、といった夫婦の共同生活を著しく妨害するような理由がある場合には、当然離婚が正当であるとの判断がなされますが、そうでない場合は一方的な事実婚解消として、場合によっては慰謝料を請求されてしまう可能性もあります。

事実婚を解消した場合に慰謝料や財産分与はもらえる?

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事実婚を解消した場合にも慰謝料や財産分与はきちんと受け取ることができるのでしょうか。一つ一つみていきます。

慰謝料はもらえる?

事実婚と法律婚は、役所に届けを出したかどうかという違いだけで、実質的には夫婦関係にあることには変わりありません。したがって慰謝料も法律婚の場合と同じように考えていいことになります。
事実婚が解消された場合には、次のようなケースで慰謝料を請求できる可能性があります。

①事実婚の破綻原因を作ったことを理由として請求できるケース

先ほども申し上げたように、夫婦の一方に離婚の原因がある場合、すなわち婚姻生活を続けることが困難な「正当な理由」がある場合には、それに対する慰謝料を請求することができます。

たとえば、上記民法770条に記載されているような不貞行為やDV、モラハラなどがそれにあたります。

②事実婚を正当な理由なく破棄したことを理由として請求できるケース

法律婚夫婦が離婚する場合において、双方の合意が得られず調停や審判による協議の場合は、離婚を認めるか否かは「民法上の離婚原因」に該当するか否かによって決まります。

しかしながら、事実婚の場合はその解消に特別な手続きや書類も必要ではなく、場合によってはどちらか一方が一方的に解消することもできてしまいます。

夫婦の一方に責任がないにも関わらず、一方的に事実婚を解消してしまうと、正当な理由なく事実婚を破棄したとして慰謝料請求の対象となり得ます。

財産分与はどうなる?

事実婚の解消であっても、法律婚における離婚と同じように財産分与を請求する権利が認められます。

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦の協力のもと気づきあげた財産について、その財産形成の貢献度に応じて財産を夫婦間で分配することを言います。

事実婚の解消時においても、財産分与は行うことができます。

年金分割はできる?

離婚時に問題となるお金について、年金分割が挙げられます。年金分割とは、離婚時や離婚の後に、夫婦の一方の厚生年金や共済年金を分割し、他方配偶者の年金をサポートするシステムのことです。

事実婚の場合でも年金分割を行うことはできますが条件があります。
年金分割は合意分割と3号分割の2種類がありますが、事実婚関係の夫婦が年金分割をする場合には3号分割しかできません。

年金分割の前提として、分割されるのは婚姻期間中に支払った年金のみ、というのがあります。しかし、事実婚というのはその性質上婚姻の開始時期と終了時期が曖昧です。

3号分割制度とは、国民健康保険の第3号被保険者を対象とした制度です。第3号被保険者だった期間というのはすなわち夫婦が婚姻関係にあった期間であるということが想定できるため、事実婚夫婦でも3号分割は受け取ることができます。

このように、3号分割と合意分割の両方を受け取ることのできる法律婚夫婦とは異なり、事実婚夫婦は3号分割しか受け取れないため、離婚後の生活において金銭的に不利になってしまう可能性が高くなります。
そのような場合は、財産分与といった他の部分で、事実婚の年金分割のデメリットを補うことが必要になってくる場合があります。

 

事実婚を解消しても養育費はもらえる?

離婚後の子育てに欠かせない養育費。全ての親は子供を養育する義務があり、たとえ両親が離婚しても子供には養育費を受け取る権利があります。

しかしこれは法律上で認められた親子関係の話であり、事実婚関係にある夫婦の間に生まれた子供と父親には、もともと親子関係がありません。

事実婚夫婦の子供と父子関係を結ぶには、父親が子供を「認知」する必要があります。

すなわち、父親は子供を認知することによって初めて法律上の父子関係が発生し、同時にその子供に対する養育義務が発生します。

したがって、事実婚を解消した後に、元夫に養育費を請求できるか否かは父親が子供を認知しているかどうかが重要です。

認知していれば、その父親には子供の養育義務がありますので、養育費を請求することが可能です。

別居中の婚姻費用は?

法律婚の場合は、離婚が成立するまでの別居期間中の生活費として、別居中も生活費を請求することができます。

しかし、事実婚の場合は同居を解消した時点で事実婚も解消していると考えられています。
したがって、事実婚において別居期間があったとしても、その期間の婚姻費用を請求することは難しいと言えます。

事実婚解消の話がまとまらなければ調停を!

いかがでしたか?たとえ事実婚夫婦が離婚することになっても、離婚の際に受け取るべき、あるいは支払うべきお金というのは法律婚夫婦とあまり変わらないことがわかりましたね。

しかし、役所に書類を届けているか否かや、戸籍に記載があるかどうかといった違いによってところどころ手続きが異なります。
そういった違いについてはしっかりと確認を行う必要があります。

事実婚解消について、夫婦間で話し合いがまとまらない場合は調停を申したてましょう。

お金に関することだけではなく、内縁解消をすべきかどうか迷っているというような場合でも調停手続きを利用することができます。

その場合は、家庭裁判所に「内縁関係調整調停」を申し立てることになります。