事実婚夫婦の親権や養育費問題について徹底解説!

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法律婚が主流の現代において、夫婦別姓が叶ったり、法的な関係に縛られない自由さに魅力を感じて事実婚を選択する夫婦が多くなっています。

別名内縁関係と呼ばれたりする事実婚ですが、婚姻関係が法的に証明されていない関係であるため、手続きなどが煩雑になるケースが多くなっています。

特にお子様がいる事実婚のご夫婦が離婚する際には、離婚に絡む親権や養育費の問題について、法律婚の離婚とは異なる点が出てきます。

今回は事実婚のご夫婦が離婚する際に、気をつけるべきポイントを解説します。知らなかった、ということがないようしっかりと確認していきましょう。

事実婚を解消したら、子供の扱いはどうなる?

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事実婚とは婚姻届を提出しない婚姻形態のことですが、それによって夫婦関係が法的に証明されないことになります。
夫婦2人での生活ならあまり支障はありませんが、子供のことで手続きが困難になる場合があります。注意すべきポイントについて、順に解説していきます。

事実婚夫婦の父と子には親子関係がないことに注意

事実婚と法律婚との違いは、法律上の婚姻関係にあるか否かということです。

事実婚とは実質上婚姻関係とよべる関係にありながら、本人たちの意思によって意図的に婚姻届けを提出しない婚姻形態のことをさします。

事実婚関係の夫婦の間に生まれた子供は、母親が出生届を出すことによって母親の戸籍に入り、子供は母親と同じ名字を名乗ることになります。

この時父親の欄は空欄になっています。つまり、事実婚関係の夫婦の間に生まれた子供と父親に法的な親子関係はありません。

母子は分娩の事実からその親子関係が証明できますが、夫婦の間に法的な婚姻関係がない以上、父子間では親子関係が証明できないからです。

よって、事実婚関係の夫婦の間に生まれた子供と父親との間の法的な親子関係を生じさせるには、手続きが必要になります。

父親が子供が自分のものであることを認める手続きを、「認知」と言います。

この認知を行わない限り、父子間に親子関係があることが証明できないため、様々な手続き面で困難が生じます。

離婚後の親権はどっちが持つ?

通常、婚姻届を提出して法的な婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子供は、夫婦が共同親権を持ちます。

しかし、事実婚関係にある夫婦の間に生まれた子供は自動的に親権者が母親となり、両親が子供に対して共同親権を持つことはできません。

そして事実婚を解消した後も、基本的には母親が親権者となります。

ただし、父親が子供を認知していれば両親の話し合いによって父親を親権者とすることもできます。

その場合は両親の合意を前提として、親権者の変更が子供の利益になること、子供の健全な成長を助けるものであることが裁判所に認められる必要があります。

なお、事実婚関係の父が親権者となっても、子供は母親の戸籍に入ったままです。

子供と父親が同じ戸籍に入って、同じ姓を名乗りたい場合は、「子の氏の変更申し立て」を行い、家庭裁判所の許可を得る必要があります。

離婚後に父親の遺産相続はできる?

母子は法律上の親子関係が存在しているため、母親がなくなった場合は子供は母親の遺産相続権があります。

しかし、父親がなくなった場合は、父親が認知手続きをしているかどうかが重要となります。父親が子供を認知していれば、父子間に法律上の親子関係があるため、父親の遺産相続権があります。

父親が遺言書を作成している場合は別ですが、父親が子供を認知していないと、子供は父親の遺産相続を受ける権利はありません。

離婚後に養育費請求はできる?

事実婚の夫婦が離婚した際にきちんと養育費を受け取ることができるかはとても重要なポイントです。

法的な親子関係にある場合、養育費の支払いは義務となります。

すなわち、事実婚関係にある夫婦が事実婚を解消した場合も、父が子を認知していれば親子関係が成立しているため養育費請求ができます。

具体的な養育費に関する内容は下記記事をご覧下さい。

父子が法律上の親子になるには「認知」手続きが必要

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父子関係を法的に証明するために必要な認知手続きについて見てみます。

認知の種類

①任意認知

法律上の婚姻関係にない夫婦の間に生まれた子供を、父親が自らの意思で認知するのが任意認知です。

②強制認知

父親が認知に同意しない場合は、認知の調停を申し立てることもできます。この場合申立人は子、あるいは直系親族、またはその代理人となります。

手続きの流れ

任意認知の場合は、認知を行う父親が自ら認知届を役所に提出することによって認知ができます。

なお、認知は子が胎児の段階でも行うことができます。その場合は子の母親の承諾が必要になります。

また、子がすでに成人している場合は、その子の承諾がないと認知することはできません。

強制認知の場合は、まずは認知を求める調停を申し立てます。調停がまとまり、父が認知に合意すれば、合意に従った審判がなされます。

なお、認知をしたからといって父が親権を持てるわけではありません。

あくまでも、父子間に扶養義務や相続関係が生じるというだけで、親権変更を裁判所に認められない限り、親権は依然として母親の元にあるため、注意が必要です。

事実婚の夫婦が離婚するときは、認知手続きに気をつけよう!

たとえ事実婚を選択された夫婦でも、父親の認知があれば、養育費をはじめ遺産や親権など、通常の法律婚と変わらずきちんと受け取ることができることがわかりました。

逆に言えば、父親の認知があるかどうかで手続きや受け取れるものがかなり変わってくるということになります。

事実婚夫婦には、通常の法律婚夫婦とは異なる気をつけるべきポイントがあるということを頭に入れて、離婚後に後悔したりすることのないよう、きちんと確認して手続きを進めていきましょう。