協議離婚で必要な公正証書の作成方法!準備から完成までの手順

公正証書

夫婦の話し合いで離婚の合意に至る「協議離婚」の場合、二人で話し合った内容を公正証書にしておくことで離婚後に約束不履行があった時に役立ちます。

とはいえ、公正証書を初めて作るという方も多数いると思いますので、どこで作るの?手続きに必要な書類は?作成完了までどれ位の期間がかかる?と色々な疑問が湧いてくるのではないでしょうか。

そこで今回は、協議離婚をする夫婦へ公正証書の作り方と注意点を解説していきます。

離婚の公正証書を作成するまでの4ステップ

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公正証書とは、公証人法に基づき、公証人が作成する公文書のことです。

公正証書には証明力があり、取り決めた金銭の支払いを一方が怠った場合には裁判なしで強制執行の申し立てができるます。

離婚に関する公正証書の作成は、以下の4ステップで行います。

【離婚に関する公正証書の作り方】

  1. 取り決め事項を話し合う
  2. 手続きに必要な書類を集める
  3. 近くの公証役場で作成依頼をする
  4. 再び公証役場へ行き、署名・押印、支払いを行う

それぞれ詳しく解説していきます。

STEP1.取り決め事項を話し合う

まずは公正証書に残しておくべき記載事項を夫婦間で話し合います。

公正証書の作成自体は難しい手続きではありませんが、どのような取り決めを行うかについては、公証役場は関与をしません

そのため、後々になってトラブルにならない契約内容を夫婦間でしっかりと固めることが公正証書を作る上で最も重要なポイントになります。

離婚に関する公正証書に記載するべき項目は以下のものが挙げられます。

【離婚に関する公正証書に記載する条項】

  • 離婚の合意
  • 親権者と監護権者
  • 子供の養育費
  • 子供との面会交流
  • 離婚慰謝料
  • 離婚による財産分与
  • 住所変更等の通知義務
  • 清算条項
  • 強制執行認諾

上記の内、当事者の要望・必要性に応じて項目を選び記載をします。

各項目ごとにどういった事柄を決めておくべきかについては、次の章で詳しく解説します。

STEP2.手続きに必要な書類を集める

取り決め内容が決まったら、公正証書の作成に必要な書類を集めます。

公正証書に残したい内容によって必要書類は異なります。

【公正証書の手続きに必要な書類】

名称 取得場所
離婚協議書 二人で作成
夫婦それぞれの印鑑
夫婦それぞれの印鑑証明書 お住まいの市区町村役場
発行3ヶ月以内の戸籍謄本 本籍地のある市区町村役場
その他取り決め内容に応じて必要な証明書
住宅財産分与がある場合 不動産登記簿謄本 法務局
住宅ローン契約書
自動車の財産分与がある場合 自動車ローン契約書
年金分割がある場合 年金手帳の写し 年金事務所

取り寄せに時間がかかるものもあるので、必要な書類は早めに準備しておくとスムーズに公正証書が作成できます。

とくに「年金分割のための情報通知書」は、発行までに3週間〜1ヶ月程度の時間がかかるため、早めに準備をしておくことをおすすめします。

なお、年金分割のための情報提供請求書は、日本年金機構HPよりダウンロードできます。

STEP3.近くの公証役場で作成依頼をする

取り決め内容と必要書類の準備が整ったら、お住まいの近くの公正役場に行き、公正証書の作成依頼を行います。

作成依頼自体は、30分から1時間程度で終了します。

お住まい近くの公正役場を探すには、日本公証人連合会の公証役場一覧が便利です。

公証役場の受付時間は、土日祝を除く平日の9時〜17時までのところがほとんどになります。(役場によって多少前後あり)

STEP4.再び公証役場へ行き、署名・押印、支払いを行う

作成を依頼してから7〜10日程度で公正証書が出来上がります。

再度、公正役場へ行き内容を確認し、問題がなければ夫婦と公証人がそれぞれ署名・捺印を行います。

必要な手数料を支払い作成が完了となります。公正証書の作成にかかる費用は、政府が定めた公証人手数料令により定められています。

離婚の公正証書にかかる手数料は、証書で定める養育費・財産分与・慰謝料などの金額によって計算されます。

公正証書で定める支払い金額が高くなるほど、手数料も高くなる仕組みです。

【公正証書作成の基本手数料】

目的の金額※ 手数料
100万円以下 5000円
100万円を超え200万円以下 7000円
200万円を超え500万円以下 11000円
500万円を超え1,000万円以下 17000円
1,000万円を超え3,000万円以下 23000円
3,000万円を超え5,000万円以下 29000円
5,000万円を超え1億円円以下 43000円
1億円を超え3億円以下 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額
3億円を超え10億円円以下 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額
10億円を超える場合 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額

※目的の金額とは、その行為によって得られる一方の利益、相手からみるとその行為によって負担する不利益。離婚問題では、慰謝料、養育費、財産分与等の金銭的対価のこと。

(日本公証人連合会HPより)

具体的な計算は、公正証書に記載された総額を基準に手数料を算出するのではなく、それぞれの項目別に手数料を計算し合算します。

【公正証書の手数料計算例】

  • 現在10歳の子供に対して、月5万円の養育費を20歳月まで支払う
  • 慰謝料100万円を支払う
  • 財産分与500万円を支払う

という内容の場合、

①養育費 5万円×12ヶ月×10年=600万円:手数料17,000円

②慰謝料 100万円:手数料5,000円

③財産分与 500万円:手数料11,000円

公正証書手数料=①+②+③=33,000円

正確にはこちらに加えて謄本代と送達費用が数千円かかります。

協議離婚の公正証書に記載するべき事柄と内容

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次に公正証書に記載する項目の内容を確認していきたいと思います。

公正証書の記載項目を再掲します。

【離婚に関する公正証書に記載する条項】

  • 離婚の合意
  • 親権者と監護権者
  • 子供の養育費
  • 子供との面会交流
  • 離婚慰謝料
  • 離婚による財産分与
  • 住所変更等の通知義務
  • 清算条項
  • 強制執行認諾

上記の内、当事者の要望・必要性に応じて項目を選び記載をします。

それぞれの内容を詳しくみていきます。

なお、これらの項目が二人だけで決められなければ、離婚問題に詳しい弁護士や離婚契約に詳しい行政書士に相談してみるのがおすすめです。

離婚の合意

夫婦が離婚に合意した旨を記載します。

「離婚届の提出日」「離婚届を提出する人」を記載することもあります。

親権者と監護権者

親権と監護権とは以下の意味を指します。

  • 親権・・・未成年の子を監護・教育し、その財産を管理し、その子を代表して法律行為をする権利を有し、義務を追う者のこと(民法820条)
  • 監護権・・・親権の内、身上監護権のこと(つまり子どもと一緒に暮らしながら身の回りの世話をする権利)

未成年の子どもがいる場合、親権を夫と妻どちらが持つか決めなければいけません。

基本的には、親権を持つ親が監護権も持つことになりますが、場合によって親権と監護権を夫婦それぞれ指定することも可能です。

子供の養育費

子どもを育てるのに必要な費用について定めます。

  • そもそも養育費を支払うかどうか
  • 養育費はいつからいつまで支払うか
  • 支払いは一括か毎月固定で支払うか

などを記載します。

子供との面会交流

面会交流について定める項目は以下の点です。

  • 面会交流の日時・頻度
  • 面会交流の場所
  • 1回あたりの面会時間

などを定めます。

離婚慰謝料

主に浮気や不倫、DV・モラハラなどによって精神的苦痛を受けた側が与えた側から支払われる費用です。

  • そもそも慰謝料を支払うか
  • 支払い金額はいくらか
  • 一括か分割払いか
  • 支払い期日はいつか

を取り決めます。

離婚による財産分与

公正証書に定める財産分与の内容は、以下の通りです。

  • 財産分与の対象とする財産はどれか
  • いつまでに財産分与の支払いをするか
  • 一括で払うか、分割で払うか

住所変更等の通知義務

面会交流や養育費の支払いをスムーズに進めるため、子どもが成年に達するまでの間、双方の住所、勤務先が変わったら通知するかどうかを取り決めます。

清算条項

夫婦それぞれに公正証書に記した権利・義務関係の他に何も債務債権がないことを確認するものです。

ようは、公正証書で取り決めたもの以外は請求をしないし、支払いも行わないと確認するものです。

強制執行認諾

公正証書を作成する一番の強みは、支払い側に債務不履行があった場合に裁判所を経由せずに強制執行ができる点です。

債務者が取り決めた金銭の支払いについて合意と強制執行の受諾をした旨を記載すると強制執行が可能になります。

なお、この強制執行の効力は、養育費、財産分与、慰謝料といった金銭債権に適用されます。

金銭以外の約束については強制的に履行させることができませんが、履行されない場合は公正証書が証拠となり勝訴の可能性が高くなります。

離婚に関する公正証書に関するQ&A集

質問集 Q&A 離婚

最後に公正証書作成にあたって夫婦間でよくある疑問にお答えます。

Q.公正証書はどのタイミングで作ればいい?

基本的に公正証書はいつでも作成可能です。たとえ離婚届を提出した後でもお互いに話し合いを行い証書を作ることができます。

そのため、離婚前・後いずれのタイミングでも作成できますが、離婚後に再び協議を行う精神的苦痛や時間的手間を回避したい方は、離婚前に作成しておくのが無難です。

Q.平日の日中に公証役場に行けない場合はどうしたらいい?

大半の公証役場の受付時間は平日9時〜17時です。そのため、どうしても平日に公証役場に行けない方もいらっしゃると思います。

その場合は、代理人を指定して公正証書を作成することも可能です。

代理人に依頼をする場合は、公正証書委任状と契約内容を記した書面を作成します。

その後、委任状の表紙に本人の実印を押印し、添付した書面の間に割印を行います。

委任状の作成方法が分からなければ、各公証人役場に確認してみてください。

Q.夫婦が合意していればどのような取り決めもできる?

公正証書の記載項目は、「法律上無効であること」「法律の趣旨や公序良俗に反すること」は記載ができません。

もし記載の仕方が気になるようであれば、弁護士からアドバイスをもらうのが無難です。

公正証書は事前準備が大切!心配であれば専門家に相談しよう

話し合い 離婚 相談

このように公正証書を作成する手続き自体は複雑なものではありませんが、「何の項目をどのように記載するべきか」は慎重に決める必要があります。

後々になってトラブルにならないように公正証書の記載内容に不安を覚える方は、弁護士、行政書士といった専門家に相談してみることをおすすめします。

離婚協議書(公正証書にする前の取り決め書面)の作成依頼に対応している専門家はたくさんいますので、内容の不備を防ぎたい方は、一度相談してみてはいかがでしょうか。