国際結婚の後、離婚する場合の手続きとは?国別の国際離婚を紹介!

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外国人と結婚する国際結婚。夫婦の数が増えるに従って、離婚を決断される夫婦も増えてきています。外国人との離婚、つまり国際離婚と日本人同士の離婚とではどう異なるのでしょうか?

国際離婚は、どこの国の法律で離婚するかによって離婚の手続きや方法が異なったり、また、宗教上離婚が禁じられている国もあるので注意が必要です。今回は国際離婚の手続き方法と注意点を紹介します。

国際結婚は離婚件数の割合が日本人同士の結婚よりも高い傾向に

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全体的な傾向として、国際結婚は年を追うごとに大きく増えていますが、日本人同士に比べて離婚件数の割合は多いのでしょうか?

こちらは厚生労働省の平成30年の人口動態調査による日本人同士の結婚と国際結婚を比較した、結婚・離婚件数別の表です。

2017年 日本人同士の結婚 国際結婚
結婚件数 585,409 21,457
離婚件数 200,603 11,659

件数を比較すると、日本人同士の離婚件数は結婚件数の3分の1近くなのに対し、国際結婚では結婚件数の半数に近いカップルが離婚しています。

日本人同士の結婚よりも、国際結婚の方が離婚件数の割合が高いのが分かりますね。これは、文化の違いによる価値観の相違などが起因しているのかもしれません。

では、国際結婚の後に離婚を決断した場合、どのような手続きになるのでしょうか?

国際離婚の手続きは、日本式か海外式のどちらかを選ぶ

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外国人パートナーとの国際離婚については、どこの国で離婚するかが重要になります。

国際離婚が双方の国で正式に承認されるための手続きは、夫婦の居住地、子供の有無と親権の所在、財産をもっている国、外国人配偶者の本国の法律などによって変わるので、離婚手続きについての詳細は担当大使館、領事館への確認が必要です。

基本的には、日本式か海外式で離婚手続きを行い、その後に他方の国へ離婚の届け出を提出する形になります。

  • 日本式で離婚→相手の国へ離婚の届け出
  • 海外式で離婚→日本へ離婚の届け出

また、夫婦の本国法も生活の本拠となる居住国も異なるときは、夫婦に最も密接な関係のある国の法律での離婚手続きとなります。

日本で国際離婚をする場合

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日本での国際離婚手続きは、日本人同士の離婚手続きと基本は同じ

日本人と外国人との離婚手続きは、外国人配偶者がまだ日本にいる場合だけでなく、国外に去った場合でも日本の法律によって成立します。離婚手続きや離婚事由、財産分与、慰謝料についても日本の法律で考えられます。

この場合、以下のいずれかで離婚手続きを進めます。

  1. 協議離婚
  2. 調停離婚
  3. 審判離婚
  4. 裁判離婚

日本では、協議離婚が9割を占めていることから分かるようにほとんどが裁判所を介さない双方の話し合いで離婚を行っています。国際離婚の場合でも協議離婚を選ぶ方が多いのではないでしょうか。

もし、離婚を決断したときにパートナーからの合意を得られなかった場合は、離婚事由にあたればパートナーの合意がなくても離婚手続きを進めることができます。

日本における離婚事由は以下の通りです。

  • 配偶者に不貞な行為があった時
  • 配偶者から悪意で遺棄された時
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでない時
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない時
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由がある時

パートナーがこれらのいずれかに該当する場合、夫婦双方の合意がなくとも弁護士や調停の場において離婚を主張することができます。

日本国内で離婚が成立した場合は、相手国にも届け出を

日本で離婚が成立した場合、相手の国へも届け出をしなければ、その国では法律上夫婦のままになります。

双方の国で離婚を成立させる場合は、日本で離婚を成立させた後、相手の国の在日大使館や領事館で、離婚の届け出をしなければいけません。そのためには、その国の離婚の方法を調べて手続きをする必要があります。

離婚時に必要な書類は国によって異なるので、相手の本国の大使館または領事館に問い合わせ、確認しなければなりません。必要によっては、弁護士など代理人に依頼します。

海外で国際離婚をする場合

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日本人が外国で離婚するときの手続きは、その国の法律に基づいて進めます。

日本では協議離婚、つまり裁判所の手続きを経ずに、夫婦の話し合いだけで離婚を成立させることができます。しかし、国際的にみると、協議離婚を許容している国は少数派で、ほとんどの国では協議離婚を認めていません。

協議離婚を認めているとしても、離婚手続きに裁判所等を挟まなくてはいけない国もあるので注意しましょう。

韓国 アメリカ 中国 ブラジル フィリピン
離婚の方法 協議離婚

調停離婚

裁判離婚

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調停離婚

裁判離婚

協議離婚

裁判離婚

不可

海外での国際離婚の一般的な流れは、次の通りです。

裁判離婚の場合、裁判が成立したら、各在外大使館または領事館が定める期限以内に、在外日本公館長に必要書類と添えて離婚届を提出します。

日本側はその届に対して「外国判決の承認」を行い、離婚届を受理したら、国際離婚は完了となります。

海外で離婚を成立させ、日本で離婚届を提出する際に必要となる書類とは基本的に以下の通りです。

  • パスポート
  • 離婚判決の謄本
  • 判決確定証明書
  • 離婚に関する当事国法のコピーとその翻訳

国によって必要となる書類は異なるので、離婚時は在外日本大使館または領事館に必ず問い合わせてください。

以下、日本人との国際結婚の件数が多い韓国、アメリカ、中国、ブラジル、フィリピンのそれぞれについて、相手方の国での国際離婚の方法を簡潔にまとめていきます。

韓国

韓国で離婚をする場合の離婚の方法は3通りあります。

  • 協議離婚(家庭法院で意思確認が必要)
  • 調停離婚
  • 裁判離婚

気を付けてほしいのが、韓国で協議離婚をする場合は「家庭法院」で意思確認を取ることが必要となることです。家庭法院とは、日本における家庭裁判所を指します。家庭法院で手続きを済ませてからではないと、役所で離婚届を提出することができません。申請時は夫婦二人で訪問します。

韓国で離婚届を提出した後は、日本への届け出は、離婚が成立した日から3か月以内に日本の役所または在大韓民国日本大使館、領事館のいずれかに提出して、完了となります。

アメリカ

アメリカでの離婚は「裁判離婚」となります。

アメリカと日本の裁判離婚で異なるのは、離婚事由が必要ではないことです。アメリカでは、無過失離婚(No Fault Divorce)を認めているため、離婚時にはそれぞれパートナーの過失を証明することなく、婚姻関係の解消を求める事ができます。

また、アメリカ国内での離婚は州により認められるため、離婚の要件、費用、所用時間、煩雑さは米国50州の州ごとで異なります。

例えば離婚の要件として、カリフォルニア州では、夫婦どちらかが州内に6カ月以上かつ申請する行政区に3カ月以上の居住が必須ですが、ニューヨーク州では、夫婦どちらかが州内に離婚申請までの過去2年間継続して居住、または夫婦どちらかが継続して州内に過去1年間居住かつ州内で挙式をしたかが必須となります。

離婚の要件ひとつとっても、州によって必須事項が異なることが分かりますね。そのためアメリカで離婚するには、離婚する州で実務を行っている弁護士を雇う必要があります。

アメリカでの裁判離婚が成立した日から数えて10日以内に日本の市区町村役場または在アメリカ合衆国日本国大使館、領事館に離婚届を提出したら、日本での離婚の届け出は完了となります。

中国

中国人と外国人の夫婦および外国人同士の夫婦は、中国内地の「婚姻登記機関」で成立した結婚についてのみ「協議離婚」もしくは「調停離婚」が認められます。

つまり、日本にしか婚姻届を提出していない中国人・日本人夫婦は、中国からすると法的には内縁関係となるので、これに該当する夫婦は中国での離婚を考えたときは、「裁判離婚」となります。

協議離婚する場合は、夫婦双方が戸籍所在地の婚姻登記機関で、離婚手続きを行います。

中国で裁判離婚をするためには、夫婦のいずれか一方が中国国内におり、戸籍を有する者であるかまたは1年以上継続して中国国内に居住していなければなりません。

裁判を起こした原告が中国国外に定住している場合は、被告の戸籍地又は居住地の裁判所を指す「中級人民法院」に提訴し、被告が中国国外に定住している場合は、原告の戸籍地または居住地の中級人民法院に提訴します。

中国での離婚が成立した日から3か月以内に日本の役所または在中国日本国大使館、領事館のいずれかに提出して、日本での離婚の届け出は完了となります。

ブラジル

ブラジルにおける離婚手続きの特徴としては、基本的に裁判離婚で、弁護士が主導となります。例外として、夫婦に子供がおらず、共有財産が全く無い場合には協議離婚で、公証役場ですぐに離婚手続きを行うことができます。

裁判離婚の手続きの大きな流れとしては以下の通りです。

  1. 弁護士を雇う
  2. 最高裁判所にオンライン申請
  3. 最高裁判所の承認
  4. 弁護士による法手続き

離婚がオンライン申請でできるのは、驚きですよね。オンライン申請に不備が無ければ、最高裁判所から選定弁護士へ離婚の承認書類が送られ、弁護士の手続きが完了すると、ブラジルでの離婚手続きは終了です。

日本への届け出は、離婚が成立した日から3カ月以内に日本の役所または在ブラジル日本国大使館、領事館のいずれかに提出して完了となります。

フィリピン

フィリピンには宗教上の理由で、そもそもの離婚手続きがありません。

そのためフィリピン人との国際離婚を考えたときは、「婚姻関係解消手続き」となります。婚姻関係解消手続きには以下2つのいずれかの方法を取ることになります。

  1. 日本式の離婚証明書をフィリピン語に翻訳し、フィリピンの裁判所へ提出
  2. フィリピンで婚姻関係無効または取り消しの訴訟を提訴

これらのいずれかの方法でフィリピンの裁判所により、婚姻関係の無効または取消しのいずれかの判決が出た場合は、フィリピンでの婚姻関係は解消されます。

離婚手続きが日本式ではなく、フィリピンでの婚姻関係解消が先行の場合は、結婚の取り消しが成立してから3か月以内に日本の役所もしくは在フィリピン日本国大使館、領事館へ届け出をします。

国際離婚で気を付けたい注意点4つ

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国によって法律も異なるため、国際離婚には、日本人同士の離婚にはない問題がいくつか発生します。重婚や在留資格についてのトラブルを防ぐためにもよく確認しましょう。

どちらか一方の国のみでの離婚は危険!

ある国では有効とされ、他方の国では無効とされる結婚の形を、「跛行婚(はこうこん)」といいます。

日本では離婚が成立したのに、相手の国で離婚が認められない場合や離婚届を提出しなかった場合など、その国ではまだ婚姻状態が続いていることになり、跛行婚になってしまいます。

こちらの状態になると、再婚を考えたときに重婚になってしまったり、子どもがいる場合は子どもの国籍が不安定になるなど問題が発生してしまいます。

離婚に関しては、それぞれの国や地域の行政機関に問い合わせることが必要ですね。

離婚後の姓を元に戻したいときは期限内に!

夫婦別姓を選択したのなら、離婚しても姓は変わりませんが、結婚の際に「外国人との結婚による氏の変更届」をして外国姓を名乗っていた日本人が離婚後元の姓に戻りたいときは、注意が必要です。

離婚後に、離婚前の姓に戻した場合は、離婚が成立した日から3か月以内にお住まいの市区町村役場に元の姓に戻る届を出さなくてはなりません。

また、結婚後6か月以上経ってから家庭裁判所で「改氏の申し立て」をして外国姓を名乗った場合は、再び家庭裁判所に申し立てて日本姓に戻る手続きが必要です。

慰謝料・財産分与はパートナーに帰国されると請求が難しい!

日本の家庭裁判所での調停・審判や裁判の結果、外国人パートナーに慰謝料や養育費、財産分与分の支払いが命じられた場合でも、パートナーが本国へ帰ってしまうと日本から有効な請求を出すことは難しいといわれています。

もし離婚を決断したときは、パートナーが帰国してしまう前に二人で話し合うことを心がけることが必要です。

また、このような事態にならないためにも、結婚前に契約する「プレナップ・プリナップ」という制度があることはご存知でしょうか?

こちらは婚前契約ともいわれ、カップルが結婚する前に離婚する時に財産や親権をどう分けるかなどを取り決めておくものです。アメリカでは多くのカップルがこの婚前契約を結ぶそうです。

自分たちだけでもこの契約書を作っておくこともできますが、弁護士に依頼して作って貰ったものは法的拘束力を持つので、それぞれの国で作っておけば離婚時も契約書に頼ることができますね。

離婚で在留資格がなくなった場合は、改めて申請が必要!

永住者としての在留資格をすでに取得している外国人は、離婚を理由に日本の永住権を失うことはありませんが、永住権をもたない外国人は、離婚後6か月以内に「日本人の配偶者等」を「定住者」もしくは「就労資格」に変更しなければなりません。

このとき、一定の条件を満たせば「日本人の配偶者」の在留資格から「定住者」の在留資格への変更が認められることになっています。その条件の主なものは、以下2点です。

  1. 日本国籍をもつ子どもの親権か監護権をもち、実際に養育していること
  2. 日本での滞在が長期間に及ぶなど、日本での定着度が高いこと

 

また、日本人が海外で結婚・居住をかまえて、離婚後も海外で暮らし続けることを考える場合も在留資格について考えなければいけません。

外国人が日本で永住権を取得するのと同様に、海外で日本人が永住権を取得した場合は離婚を理由に永住権を失うことはありません。

しかし、永住権の取得前に離婚をした場合は、在留資格を申請し直すことになります。この時、永住目的での偽装結婚を防ぐためにも、結婚が永住目的ではない証拠の提出が必要になります。例えばアメリカでは、共通の知人による宣誓書やマリッジ・カウンセラーによる診断書が有力な証拠となるそうです。

在留資格についても国によって異なるので、詳しくは在日領事館や大使館に尋ねてみましょう。

国際離婚は、両国の法律を確認することが大切!

ポイント まとめ

いかがでしたか?日本人と外国人の離婚は、日本と相手国双方の法律に照らして有効なものでなくてはいけません。日本に居住する夫婦には日本の法律が適用されます。外国での離婚はその国の方法にのっとって手続きをすることになります。

注意点にもあるようなトラブルに巻き込まれないようにするためには、まずは配偶者との話し合いを大事にすることがありますが、同時に相手国の法律を調べたり、在日、在外大使館・領事館などで情報を集めることをおすすめします。