夫との死別後も義母と関わりたくない!死後離婚の注意点と手続きを解説

クエスチョン 離婚

みなさんは「死後離婚」という言葉を耳にしたことはありますか?

厳密には、亡き夫の家族とは縁を切る、死後離縁となるのですが、最近テレビ番組で取り上げられて話題になりました。

なぜ死後離婚を選ぶ人が増えているのでしょうか?今回は死後離婚について注意点や疑問を挙げながら解説していきます。

近年増えている死後離婚

死後離婚 義母 縁切る

死後離婚が増えているということですが、そもそも死後離婚とは、パートナーとの死別後に「姻族関係終了届」という届出を出して、死んだパートナーの血族と自分との間の姻族関係を終了させることです。

配偶者が亡くなった後、配偶者との婚姻関係は終了しますが、配偶者の血族との関係(姻族関係)は残ったままです。この場合に、姻族関係を終了させるものが、上記にある「姻族関係終了届」です。

「夫が死んだ後も義父母の面倒を見るのはイヤだ!」「夫と同じお墓に入りたくない」といった場合も市区町村役場に届出を提出すれば、関係自体を断ち切る、縁を切ることができますね。

実際に、姻族関係終了届を提出している方たちはどのくらいいるのでしょうか。

こちらは平成30年度の法務省による戸籍統計を参考にした2009年~2018年の姻族関係終了届の届出件数です。

死後離婚 増加 グラフ

年間に4000件前後、死別した夫の家族との関係を断ち切る方がいるようですね。マスコミに取り上げられたこともあって、死後離婚の周知が広まり、ここ10年で急激に数が増加しているのが分かります。

2018年の日本人の平均寿命は女性が87.32歳、男性が81.25歳で、夫に先立たれることも少なくありません。

夫の家族と仲が悪かった場合、この「死後離婚」は魅力的かもしれませんが、一度、死後離婚についての注意点をまず知ることが大切です。みなさんの持つ悩みはもしかしたら姻族関係終了届を提出しなくても、解決する可能性もあります。

死後離婚の注意点3つ!

女性 悩み 疑問

姻族関係終了届を提出することで、できることはあくまで提出した本人と、亡くなったパートナーとその家族との関係を断ち切るだけです。

なので、そもそもの悩みが解決しない可能性があります。どういうことなのでしょうか?

①苗字は旧姓に戻らない!

例えば、夫との死別後も苗字は結婚時のままだと思います。離婚したわけではないので、旧姓に戻りません。また、死後離婚をしても旧姓に戻れるわけではないので注意!

自分の苗字を、結婚前の旧姓に戻したい場合は死後離婚の姻族関係終了届ではなく、「復氏届」を役場に提出しなければいけません。

死後離婚 復氏届

妻は夫の戸籍を抜けることになります。妻が戸籍を抜けても子どもはその戸籍に残ります。夫と妻が除籍された戸籍に子どもだけが残っていることになります。

また、復氏届と姻族関係終了届は、それぞれ単独で届け出することができますが、両方とも届け出る場合、届け出る順番によって、戸籍の記載内容が以下のように異なります。

  • 姻族関係終了届を提出後、復氏届を提出する。

→新戸籍には、姻族関係終了事項が記載されない。

  • 復氏届を提出後、姻族関係終了届を提出する。

→新戸籍には、姻族関係終了事項が記載される。

もし、苗字を旧姓に戻したく作る新しい戸籍に、亡くなったパートナー関連のことを載せたくない場合は、①姻族関係終了届 ②復氏届 の順で提出することになります。

②子どもと義父母の関係は続く

姻族関係終了届を提出することで、縁を切れるのは提出した本人のみ、です。なので、もしお子さんがいた場合は、お子さんと義父母の関係は続きます。

もし、お子さんも亡きパートナーの籍から抜きたい場合はどうすればいいのでしょうか?

方法は以下の流れの通りです。

  1. 家庭裁判所に氏の変更の許可をもらう
  2. 復氏した母の戸籍に入籍する

このようにお子さんと同一の戸籍にするには2段階で手続きを踏まなくてはいけません。

まずは、親子で姓を同じにするために、子どもが親に合わせる場合は家庭裁判所で「子の氏の変更許可」を申立てます。

申立てに必要な書類は以下3点です。

  1. 申立書
  2. 申立人(子)の戸籍謄本
  3. 父・母の戸籍謄本

申立書は苗字を変えたい子どもの年齢が15歳未満か、15歳以上かによって異なる点があるので注意してください。

子どもが15歳未満の場合は、「法定代理人」が申立人となって家庭裁判所に申立てます。法定代理人とは親権者や後見人を指します。

こちらは申立人が15歳未満の場合の記入例ですが、15歳以上の場合は、申立人は子ども本人となるので、法定代理人の記入欄は空欄で提出し、申立人の欄には子どもの名前を記入します。

離婚後 子ども 苗字

 

子ども 苗字変更 記入例

子の氏の変更許可の申立て費用としては、約2000円前後がかかります。内訳は以下の通りです。

  • 収入印紙800円分(子ども1人につき)
  • 連絡用の郵便切手(東京都内では合計1000円)

家庭裁判所で、子どもの苗字の変更が許可された後は、つぎに、市区町村役場に「氏の変更届」を提出します。これで同じ新戸籍に子どもも入籍することになります。

氏の変更届 離婚後

届出の際には原則として以下2点の必要書類の提出が求められます。詳しくは市区町村によって異なるので、届出する役場に尋ねてみてください。

  • 審判所謄本
  • 戸籍謄本(全部事項証明書)

 

③亡きパートナーとの再婚・復縁は二度と不可能

一度終了させた姻族関係は、二度と復活させることはできません。亡くなった方と再婚することはできませんよね。

一時的な関係の悪化から姻族関係を終了させると、後で後悔することにもなりかねません。じっくりと考えたうえで、結論を出しましょう。

死後離婚の手続きを解説

離婚 別居 ヒント

死後離婚についての注意点はおさえられたでしょうか?もし、死後離婚を決断した場合の手続きについて解説します。

手続きの流れ

姻族関係終了届をお住まいの市区町村役場に提出するだけです。

姻族関係終了届は、市区町村役場HPでダウンロードもしくは窓口で直接入手することができます。提出できるのは本人のみになります。

提出期間は特にありません。提出して、役場で受理された時から、効力が発揮します。

必要書類

姻族関係終了届を役場に提出する際に、必要なものは以下の通りです。もし、苗字を旧姓に戻したい場合は「復氏届」も合わせて持参しましょう。

  • 姻族関係終了届
  • 印鑑
  • 本人確認書類(運転免許証など)
  • 本籍地以外の役所に出すなら戸籍謄本

こちらは大阪市の姻族関係終了届です。お住まいの市区町村役場で入手することができます。

死後離婚 姻族関係終了届

複数回配偶者と死別している場合は、終了したい姻族関係における死亡配偶者について記入します。

死後離婚についてのQ&A

疑問 離婚

あまり聞き慣れない死後離婚。

死後離婚にまつわるよくある疑問を挙げながら解説していきます。

死後離婚で、亡きパートナーと同じお墓に入らなくてもいい?

実は、死後離婚をしなくても、法律上、パートナーと同じお墓に入る義務などは定義されていません。

しかし、何もしなければ夫のお墓に入る可能性が高くなりますよね。

そのため、「死んでまで夫と一緒になりたくない」または、「お墓の継承など負担を強いられたくない」 という理由から死後離婚を選ぶ人もいるようです。

死後離婚したら義父母の扶養義務はない?

姻族関係終了届を提出すれば、法的には扶養の義務はなくなります。

パートナーの死後、残された義父母の介護をしなければならない義務は元々ありませんが、「将来介護を見通して、多額の相続を受け取った」または「義父母と同居している」などの特別な事情がある場合は、家庭裁判所から介護などの扶養義務を言い渡される可能性が皆無とは言えません。

これを回避するには、姻族関係終了届を提出します。これを提出すれば扶養義務にあたる「3親等内の親族」でなくなるため、義父母の世話を見る必要はなくなります。

死後離婚しても相続は返さなくていい?遺族年金は受け取れる?

実は、遺産相続については影響はありません。いったん相続した財産を返却する必要などはなく、通常と同様、遺産を受け取ることができます。

また、パートナーが死亡した場合、一定の条件を満たすと、配偶者は「遺族年金」を受け取ることができますが、死後離婚によって、この遺族年金が受け取れなくなることもありません。

復氏届や姻族関係終了届を提出しても、遺族年金は受け取ることができます。

生存配偶者が遺族年金(遺族厚生年金の場合も)をもらえなくなるのは、以下3つのいずれかの場合です。

  • 再婚
  • 死亡
  • 直系血族・姻族以外の養子になる

受け取った相続や、遺族年金については、旧姓に戻しても、夫の死後に夫の家族との縁を切っても、影響はありません。

パートナーとの死別後に再婚する場合は死後離婚しないといけない?

パートナーとの死別後に、また縁があり違う方と再婚する場合は、再婚届を提出するだけで大丈夫です。特別に、姻族関係終了届を提出する必要はありません。

戸籍筆頭者で結婚した方と死別、その後に再婚 となると、亡くなったパートナーの名前は戸籍に、残り続けます。もし、それが嫌な場合は、再婚相手の籍に入るか、または、自分の戸籍を新しくしてから再婚することをおすすめします。

一時的な感情ではなく、よく考えての行動を

離婚 シングル ひとり親いかがでしたか?一度、姻族関係を終了させるともう二度と関係を持てなくなります。

夫の死亡後、時間の経過とともに夫の家族との関係性や自分の気持ちに変化が生じることもありますので、この届を出すかどうかは一時の感情で決めず慎重に考えましょう。

また、今持っているお悩み自体が、姻族関係終了届の提出することで解決しないこともあるので注意が必要ですね。